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「なんてね。柊ちゃん!」
「はい!『遅延』!!」
ドウェインの動きが極端に遅くなる。
「聖夜!竜也くん!!」
柊の呼び掛けに応じるように、深也の能力で姿を隠していた2人が、ドウェインの前に飛びかかっていた。
「いくぞ竜也!『加速』」
聖夜は竜也の背中を押す。すると竜也に『加速』がかかった。
「これで終わりだ!!」
勢いの増した竜也による一撃がドウェインの胸に炸裂した。
「ぐわぁぁぁっ!!!」
ドウェインの体から、魂が抜けていく。それに応じて、彼の体がみるみるうちに縮んでいった。
髪の毛も縮み始め、中からサイラスが放り出される。
「サイラス!」
ルーナは理央の手を離れて空中から着地すると、サイラスを受け止めた。
「サイラス!大丈夫?」
サイラスは目を開けると、ルーナの顔を見つめた。
「……ルーナ」
「何?」
「僕は、間違っていた。君のおかげで目が覚めたよ。ありがとう」
「サイラス……」
「ずっと、ルーナは無理してるんじゃないかって思ってた。でも、それは違った。ルーナは好きなもののために、全力を尽くしてたんだ。思い返せば、君はいつだって笑顔だったよね」
サイラスは微笑み、ルーナを抱きしめた。
「僕も、オラシオンが好きだ。オラシオンを愛する、ルーナが大好きだ。これからも、君を隣で支えていきたいよ……だから、どうかそれを許してくれないかな?」
「サイラス……ええ。もちろんよ」
ルーナはサイラスを抱き締め返した。辺りの霧もすっかり晴れ、海辺に浮かぶ無数のランタンが輝いていた。
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