私は、行かなきゃならない

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私は、行かなきゃならない

 深夜一時四十五分。  ひっそりと静まり返った神社に向かい、私は階段を登る。急な段差でヒールがぐきっとなって足首をくじきそうになる。でも、私は足を止めない。  私は、行かなきゃならない。  この日のためにできるだけのおしゃれをしてきた。あの日、見せることができなかったグリーンのチェック柄のワンピース。いつもだったら絶対履かないような12cmのピンヒール。髪だって無造作にくくったりしないで綺麗にカールさせてふんわりと顔を覆うようにセットしてきた。  本当なら、このグリーンのひざ丈のワンピースは、そろそろ夏が近づいてくるこんな日に着るには厚手だったけれど、絶対これだけは外せなかった。 「美鈴には緑色が似合うな」と言ってくれた直哉のために、新調したものだったから。  この階段の上に、直哉は来る。
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