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 大晦日ないし元旦に雨内と結ばれて、晴れて交際をスタートすることが出来た。その日の朝、明と雨内が自分達のスマホを確認するとメールや電話の通知が何件も入っていた。将基と華子だ。デートの途中で何の連絡もなしに、どこかに行ってしまったから心配していたらしい。華子のメールは心配していることが窺える文面だったが、将基のメールは怒りが滲み出るような文面だ。一見すると心配しているような文章だが、絵文字がなければ感嘆符も句読点もないのだ。いつもは絵文字も句読点も付けるくせに。将基と華子には雨内のほうから、付き合うことになったとメールで送ってもらう。  それから半年。将基と華子は来年の5月に結婚式を挙げるという。付き合ってから3か月で将基からプロポーズをしたらしい。流石に早急過ぎるだろうとも思ったけれど、何とか上手くやっていけるだろう。半年も続かないと高を括っていたけれど、しっかりとデートも夜の営みも継続出来ているらしい。将基は飲み会になるといつも華子の自慢ばかりするのだ。  明も負けていないと思っている。初めて結ばれた1月1日から今日まで週1回のペースで雨内とベッドで愛し合っていた。堰を切ったように性欲が溢れてしまったんじゃないか、と思ってしまうほど互いに積極的だ。雨内も明も周囲から真面目と言われるだけあって、互いにキスや愛撫する時も丹念だった。どうしたら喜ぶのか、気持ちがいいのか、そんなことばかり考えてしまうが、萎えてしまうことはなかった。キスは疎かデートをしているだけでも多幸感に包まれるのだ。惚れた相手と裸で戯れているだけでも充分に心地好く感じられる。  真面目だから、相手が気持ちいいのかは絶対に考えてしまう。  けれど、胸の上で目を瞑る雨内の顔を見ると、明はどうでも良くなってしまうのだった。  初めてが彼女で良かった。
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