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翔ちゃん、法律変わったんだってよ
僕が17歳になった年。
法改正が成され、18歳以上の成人はバース性に関わらず、本人同士の合意があれば自由に結婚が出来るようになった。
性の不平等を無くす為だと、皆は言う。
αやΩと付き合ってたのに結婚は出来なかったβ達は喜んだし、実際そういうカップルの結婚が急増した。
でも、法改正だけじゃ解決出来ない問題もあるよね。
ヒート問題とか、
それから、子供とか。
僕は保育園の頃から幼馴染の翔ちゃんが好きだった。
翔ちゃんは隣の家の、同じ歳の男子だ。
保育園から高校迄ずっと同じ学校。
3歳の頃に僕ら家族がこの街に越して来て、両親と隣に引越しの挨拶に行って翔ちゃんに会った時から、僕は彼の虜。
出会った瞬間、僕は翔ちゃんが僕の特別な人なんだと思った。
今で言うなら、運命の番ってこんな感じじゃないかなと思うとこだ。
それくらい、幼い翔ちゃんは丸くって可愛くて…、
何と言うか、こう…、3歳児とは思えない…貫禄があった。
まあ少し…ほんの少し、もちもちしていた…かもしれない。
成長するにつれて、どんどん身長が伸びて大きくなった今では
、貫禄は精悍って言葉に変わったけど、照れ屋で可愛い所はそのままだ。
それに、綺麗に筋肉がついた肢体はお世辞抜きでカッコいい。
10年以上、僕は翔ちゃんに片想いしっぱなしだった。
せめて恋人になって欲しくて、色々意識してもらう努力もしたけど、翔ちゃんは少し…結構…かなり鈍感だったので、それが実る事は無かった。無念。
未だに僕はタダの幼馴染の親友という位置付けのまただ。
翔ちゃんと僕は電車で3駅の距離の高校に一緒に通っている。
高校に入って直ぐのバース確定検査で、翔ちゃんはβ、僕はαだった。
翔ちゃん家族は典型的β家系で、僕の家はそれなりにαが出る家系だったから、大方の予想通りだ。
中学の時の検査結果を覆す事も無かったので、何の波乱も起きなかった。
僕は翔ちゃんを好きだったけど、小学生の頃から、もう翔ちゃんとは結婚出来ない事を理解していた。
αが結婚出来るのはΩと、β女性だ。
翔ちゃんはβ男性だから、惜しい。
もう一声欲しかったなあ、と思ってたら、高二の時に法改正で状況が変わった。
僕は翔ちゃんと婚姻可能になったのだ。
となれば、何とか本人を口説き落とさなければならない。
(本気を出さなければ…。)
テレビとスマホのバブーニュースで婚姻制度の改正のニュースを見たその日の晩、僕は固く誓ったのだった。
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