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「パパ、緑の芽が出てる」
私は大きな声を出した。パパが薄めを開ける。
そして微笑む。
「パパが言った通りだろう? どんどん伸びて花が咲くよ」
「こんなに寒いのに?」
「そうさ」
パパが眠った。私は外へ出る。
暴風雪はとうに止んで、星がちかちかと瞬いていた。
吸いこまれそうな夜空。
頬が寒さでひきつるけれど、気持ちがよい。
ずっと見上げているうちに、後ろの木戸が開いて、パパも外に出てきた。
「パパ、起きたの? 具合はどう?」
「だいぶいいようだ」
パパは言い、私に並んで空を見上げた。
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