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「アディラ、空の果てのことは知っているね」 ふいにパパが言う。どこか真剣な口調で。 「うん。パパが教えてくれた。宇宙。地球は太陽系の第三惑星で、太陽系は円盤みたいな星の海の端っこのほうにあるんだよね」 「そう、銀河さ。じゃあ、銀河は宇宙のなかにいくつあるのか分かるか?」 「えーと」 宇宙はとてつもなく大きく、しかもいまも膨張している。 「10万個くらい?」 少し適当に私は答えた。 パパはまた微笑む。 「違うの?」 「ああ、全然違う」 私は少し困りながら目を凝らして空を見る。宇宙の果てを見ようという気持ちだった。 「400億個さ」 やがてパパが言った。 私は頭がくらくらとして体が回るかのような気がした。
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