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「いずれお前は森を出て、ずっと太陽のある方角へ進むんだ。いいかい」
「ずっとここで暮らすわけじゃないの?」
「お前にとってはそのほうが幸せかもしれないが」
と前置きしたうえで、
「でも、パパの願いを聞いてほしい」
嫌な予感がした。パパにそれ以上言ってほしくなかった。そんな私の気持ちを察したかのように、
「お前じゃなきゃ、だめなんだ」
有無を言わせぬ口調。
滅多にないけれど、パパがこういったらこうとしかならない。
私は唇の震えをこらえるのに下唇を噛んだ。
ビニールをかけた鉢の植物は元気に育った。外はまた雪が降っているのに。
そして、もったりとした白いつぼみをつけた。
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