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森の雪原の中に鹿を見かけた。 この時期の鹿は飢えて痩せてうまくない。 でも、飢えているのはこちらも同じだ。 私はそっと近づく。 鹿は腹まで雪にはまって動けなくなっていた。 食いしん坊の鹿め。 黒いつやつやの実のような瞳がこちらを見た。 鹿は感情を表さない。 ルーとは違って。 あごの辺りまで雪片がまばらに張りついている。 私は後ろからそっと動けない鹿に近づき、 細い首を抱くように抱えて、右側へ捻じ曲げた。 私の聞き腕は左、だから右側なのだ。
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