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●これまでのあらすじ ー1章ー●
田中芳樹は主人公になれない男である。
と、言うのも、大家族の一番真ん中に生まれ育ったのが影響しているような気がする。
高校を出ると、家族の為に働こうと思っていた。しかし、二人の兄達に「大学」への進学を進められる。
……興味がないわけではなかった。
勧められるまま、地元のオープンキャンパスへと足を運んだ。
そこで、一目惚れをしてしまう。
まさか、それが、男なのだ。
相手の名前は神城叶。
大学内にある、就活サポート課の職員だった。その、柔和な笑顔、それでいて的確で聞く人を楽しませるプレゼンのギャップにやられた。
また、会いたいと思ってしまった。
受験にも無事に合格し、大学生活と言う自由を、家族は俺に与えてくれた。
無事、彼とも再会を果たした俺は、神城さんを「叶ちゃん」と呼ぶ程の仲になる。
黒淵メガネをかけているインテリ男子の翔と、無駄に背の高い男・大成と言う友人が出来、よくつるむようになった。そこに、女顔で、その美貌から酷く目立つ男・秋夜も加わる。
見知った友人も増え、新しく賑やかな日々に。そんな矢先に、叶ちゃんに想い人があると知る。
それはーーーーー……秋夜だった。
二人ともすっかり大事になってしまった俺は、二人の幸せを願う。
ほら、だって俺は、「物語」の主人公にはなれない男だから。
二人の幸せを。それくらい、聞き届けてよね、神様。
無事、二人の恋は成就した。
やれやれと、思いながら同じく独り身の大成とダーツで遊んでいた時の出来事である。
『愛してもいい?』
全く、思わぬ展開だった。
お前何処に伏線落としてた?!
少し先の未来くらい予想が出来て、そうやって、遠い先の未来まで繋がっていくのだと思っていた。
でも、実は未来なんてもっと、不明瞭で不確かで、不透明で。
さっき、突然降り出した、予報外れの雨のように。
そんな、思わぬものとの出会いからも、コロリと方向を変えてしまうのかもしれない。
ーーーーー…まぁ俺が、大成を好きになる未来はないと思うけど。
これは、そんな、物語の主人公になれないような俺が、経験する未来の話。
俺が主人公となって進む、俺の人生の、お話。
↓1章から読んで下さる方はこちら。
★突然現れたそいつが、まるで全てを塗り替えたんだ。~一章~全章用~
https://estar.jp/novels/25859571
(旧:突然降り始めた、その雨のように。)
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