3.夏 その2

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 大成とは、無事にスカイツリーの展望台で落ち合えた。  スカイツリーに行き、浅草、秋葉原、と予定していたのを、大成と落ち合いやすいように、先に秋葉原を巡り、スカイツリー、浅草、という予定に変更した。 「分かりやすく、展望台で待ち合わせようぜ!」  と笑った翔の意見を採用したのだが、展望台の入場料の高さに心が折れそうになった。……またと無い機会だろうと、既成事実と経験を得る為だけに、その料金を支払うことにする。 「すげーな。東京。別世界だ」  会うなり、大成はそう溢した。「人間って、こんなに居たんだな」とも言った。 「これだから、お上りさんは」  翔がニヤニヤと言う。  ほんの一日リードしてそれを体感した翔は、ちょっと得意気だ。どんぐりの背ぇ比べにも程があるだろ、と俺が突っ込み、また俺達は笑った。  大成は簡単に昨日の予定をドタキャンしたことを詫びたが、それを責める奴は誰も居なくて、「お前は英雄だよ」と翔が言えば、その話は終いになった。  今、此処に居ることの方が大事で、これからを楽しむことが最優先事項である。  俺達はその後二日間も、これでもかと遊び尽くした。
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