4.秋

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 俺と大成は、時々二人で酒を飲み、飲めばキスくらいはするような関係に、なった。 (……………爛れてる………)  最近、専らの悩みである。  二日酔いよりも、頭を痛める。  いけない、とわかっていながら。もう何度もしたその行為に、酒を飲むと「まぁいいか」と思ってしまうのだ。ふわふわと浮かされた気分のまま、恐ろしいくらいに、は曖昧になった。  じゃあ、二人にならなければいい。  じゃあ、酒を飲まなければいい。 ーーーー…と、思うのに。出来ない。  今日もバイト後に大成のアパートに行ってしまい、すっかり常備されている酒を飲み、すっかり出来上がった俺と大成は、互いの呼気からアルコールを感じながら、互いに唇を重ねた。 「ん、ふぅ、」  大成の舌先が口内に侵入して来た。  慣れないこのキスも、アルコールで麻痺した舌は、求めるようによくそれに絡んだ。 「っは、……芳樹、お前、その顔絶対に誰にも見せるなよ……」 「ん、」  熱過ぎる唇が離れると、直ぐに冷やされていくことを嫌って俺から唇を重ねてしまったりもした。 (ーーーーなにやってんだろ、)  頭ではふと、そんなことを思うのに。 (………キスって、気持ちいいんだな……)  その快楽に、すっかり抗えなくなっていた。  アルコールって怖いな。  知能が、どんどん低下していくような気がする。キモチイイから、なんでもいいか、なんて。頭で何も考えず、ただ求めるままに本能に従ってしまう。  そんなんじゃ、きっといけないのに。  大成と過ごすこの時間に……俺はどうも、甘えてしまっている。もしかして、俺、もうとっくに……すっかりコイツのことをーーーーー…
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