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●これまでのあらすじ ー2章ー●
季節巡って、秋も終わりに近付き、冬の訪れを感じなくもない季節になった。
『ガンガン押す』………なんて言っていた大成はと言うと、何故か素っ気なくなり、身構えていたような毎朝晩のLINEだとか電話だとか……そういうものもなく、少なからず面喰らった。
別に、期待していたわけではない。
いつものように就活サポート課の叶ちゃんを訪ねた。
二人きりになった空間で思うことは、「このままでいいのかな」ってことだった。
晴れて恋人同士になった叶ちゃんと秋夜。過去に、叶ちゃんを好きだった自分が、叶ちゃんと二人っきりになってもいいの?
また、当の叶ちゃんは俺が秋夜を好きだったと思っているから、やっぱりそれも気まずかった。
翔には彼女が居て、その時間を邪魔にも出来ない。……………と、必然的に、大成の方へ向かうことになる。勿論、一人の時間の暇潰しにだ。
しかし、訪ねた大成のアパートからは女の甘ったるい声が聞こえて…………?!
気晴らしにと翔に紹介され、彼のサークルの梨木先輩と、「妹」と名乗る女の子と、空きコマにドライブに同行させて貰うようになった。
そこで知る、世界の広さ。本当の、『自由』。
(………なんだ。叶ちゃんが居なくても、秋夜が居なくても、………(大成が居なくても、)………十分、楽しいじゃん……)
世界はいつの間にか、目まぐるしく回る。
先輩に『自由』を感じて懐いた俺に、大成の嫉妬。それから、秋夜からのキス。
妹ちゃんは、もしかして俺に気がある?
梨木先輩にも迫られて……?!
「芳樹って、主人公気質だね」
そんなまさか。
だって、『田中芳樹は主人公にはなれない男』のはずだっだーーーー…。
新たな出会い。
様々な出来事の中。
しんしんと、まるで降り積もる雪のように。
それでも、俺の心に降り積もって残ったのは、ーーーー大成だった。
『お一人様クリスマス会、しない?』
明日、と誘われて、不覚にも暖かい気持ちになる。だって、明日はもう、クリスマスが終わっているから。
俺が「クリスマスは家族と過ごす」と言ったことをきちんと覚えていて、俺が家族と過ごす時間を大切にしていることを、大成も大切にしてくれたのだと思う。
そんなことが、どうしようもなく、嬉しかった。
「………明日でいいのかよ」
電話をかける。
「ごめん。今日、そっちに行けない」
しんしんと、雪が降っていた。
ホワイトクリスマスだ。
寒さに、足早に目的の建物へと向かう。
大成が、
まるで純愛をしているような幸せそうな顔をして笑うので、俺もつい、嬉しくなってしまった。
※こちらは『3章のみ』公開用です。
↓1章~2章を先に読んで下さる方はこちら。
★突然現れたそいつが、まるで全てを塗り替えたんだ。~一章~全章用~
https://estar.jp/novels/25859571
(旧:突然降り始めた、その雨のように。)
※続く4章(これから執筆)も、こちらのページには追加されません。
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