24人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「暇だ」
「な」
太陽がジリジリと照り付ける午後2時。
俺と浩介はコンビニの前で腑抜けのように地べたにしゃがみ込んでいた。手に持つアイスはポタポタと溶け始めている。
「高2の夏…。想像と違うわ」
「な」
そう。何を隠そう俺らは高校二年生。そして今は夏休み。
来年の夏はきっと進路に追われているであろう。そう考えたら今この時に目いっぱい遊んでおくべきなのだろうけれど……。
「他の連中は部活だのデートだのって……。あー!羨ましい!俺も彼女欲しいー!」
両腕を空高く伸ばした浩介は、天を仰ぐようにそう叫んだ。
澄み切った青空が逆に物悲しさを語っている。
彼女ができるどころか、部活動すら入っていない。うかうかしていたら1年の時に入り忘れたのだ。
結果、思い描いていた理想も虚しく、自分と同じく暇人である唯一の仲間(浩介)と、こうしてコンビニ前でアイスを食べるだけの日々だ。
最初のコメントを投稿しよう!