第6章 心の声

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震える身体。そっと伸ばされた手が私を優しく包み込み抱き締めてくれた。 優しく強く強く抱き締め髪を撫でる指が柔らかく、そしてとても温かい。 ほろ苦い煙草の香りに始めて感じる胸の高鳴り。 「やーっと素直になれたねぇ」 優しさと冷たさの間に見え隠れする大人の香りが甘さと苦さを巧みに混ぜ合わせ漂うベールが彼を包んでいる。
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