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どれだけ彼を求めても彼が自分のものにならないことは知っていた。
どんなに彼と熱い一夜を過ごそうと、どれほど躰と躰を重ねても、彼の心は自分のものには絶対にならない――――。
彼の心に巣食うモノ·····彼のココロを縛って離さず蝕み続ける忌わしい存在。
『――――私に頂戴·····』何度も心の中で強く叫んだ。叫んでも叫んでも叶わない夢の中の夢――――。
それでも·····叶わない恋だとしても彼に抱かれている時だけは彼を独り占めできる、この瞬間が愛しくて大切で堪らなく好きだった。
「·····あい·····して·····る」
2度目の行為を終え疲れきり深い眠に落ちた恋伽の口から淡い戯言が漏れた。
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