第2章 求め合う躰

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子猫の様に小さく躰を丸め眠る恋伽の額に触れるだけの口付けを落とし、耀は深い溜息を漏らした。 「ダメでしょーよ。こんな悪いの男に(ホダ)されちゃ」 恋伽を見つめる優しくも冷めた眼差し。どことなく冷たさを帯びたアクアグレーの瞳の中には、恋伽は映ってはいなかった。 自分は誰かに愛されていいほど上等な人間ではない――――。 「そろそろ·····潮時かねぇ」 深い眠りに落ち少女の面影を残した、あどけない姿の恋伽。その夜。耀は物思いに(フケ)りながら煙草を吹かし月夜に照らされた部屋から音もなく消えるのだった。
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