第3章 溢れた想い

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ふと目線を足元に落とすとキラリと光る物が目につき拾い上げた。 「――――ほんと·····酷い男」 落ちていた物――――それは耀の大切にしていたシガレットケースだった。 「女の部屋に女から貰った物を忘れていくなんて·····ほんと罪な男ね」 百合の花の銀細工がキメ細やかに施された繊細で美しい作りのシガレットケースは耀が時折、切なそうに·····愛おしい人を想い描いたような眼差しでみつめる世界に一つだけの彼の愛が詰まったものだった。
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