第3章 溢れた想い

4/4
前へ
/56ページ
次へ
けして愛してはならない相手。 『彼を愛してる』ことが露見した瞬間、私達の関係は終わる。 ぎゅっと心臓が何かの強い力で鷲掴みにされたような痛みが走る。 「――――好き」 口にした2文字は意外と軽くて 「――――愛してる」 この重厚感のある心に響く痛い4文字が私の心を奪い見えない力で強く強く縛り上げる。 「切られる前に自分で決着を付けなきゃね」 昨晩の情事事の跡が残る躰には、まだ耀の甘い香りが染み付き私を離さない。 「男を忘れる手っ取り早い方法は·····」 私の心に住み着いた悪い男。 「違う男の所有物になること·····」 どんなに愛しても愛しても足りない彼の温もり·····叶わぬ愛に身も心も焼かれ死に際に咲く1輪の花のよう可憐で美しく鮮やかに散りたいと願ってしまった。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加