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言葉は、刃だと思う。
「ねぇ、ほんと、マジ死ねって感じ。」
何故、簡単にそんなことが言えるのだろう。
斜め向かいのテーブルの、さらに二つ隣のテーブルから聞こえる名も知らぬ人の言葉に、心の中で首を傾げる。
『死ね』などと言い、その相手が本当に死んでしまった場合、どうするのだろう。責任を感じはしないのか。それとも、そんな感情は持ち合わせてはいないのだろうか。
さらに聞こえてくる罵詈雑言を耳にしながら、黙々と食事を続ける。
今日のメニューは塩鮭の焼き魚定食。金曜日の日替わりディナーの内訳通りだ。この店は夕方にも手頃な定食にありつける。
大声で誰かの悪口を捲し立てていた会社員達は、そのままの音量で話をしつつ会計を済ませ、店を去っていった。
「申し訳ございません、五月蝿くなってしまって。」
会計をする際、店員に頭を下げられた。
「気にしないで下さい。こちらも聞き流していましたし。」
無難な笑みとともに、会計を済ます。
「ありがとうございました」という定型の挨拶を背に、店を後にした。
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