なんにもない

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『死にたい』 それだけが綴られたメッセージアプリを、ぼんやりと眺めていた。すでに既読はつけてしまった。返信を、しなければならない。 返信をするのは、何故なのだろう。 冷たい人間だと思われたくないのか。それとも、単なる義務感なのか。わからない。それを分かろうとしていた時期は、とうに過ぎた。 頭を悩ませ、返信をする。 それにもまた『死にたい』と、一言。 終わらない。これがずっと続くのかと思うと、目眩がする。一時期は涙が止まらない時もあったが、そんな時期はもう過ぎてしまった。 心臓が痛いような気もするが、よく分からない。分かろうとする気も、起きない。 『じゃ、一緒に死んでみる?』 そんな内容を、打って、消した。
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