なんにもない

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時は過ぎる。 永遠に続くと思われた緩やかな悪夢にも、終わりは訪れる。終わらないものはない。それは単なる小休止なのかもしれないが、取り合えず、終わったことには違いない。 『死にたい』と連呼していたあの人は、随分と安定した。こちらの献身が功を奏したのかは、定かではない。だが、一時期より落ち着き、会話を楽しめるようになったことだけは確かだ。 とはいえ、元通り、とはいかない。 壊れたものは、簡単には戻らない。それが大切な何かであっても。否、だからこそなのかもしれないが。
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