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いつか、あの方は私に振り向いてくれるでしょうか……
***
私はロッティエ。平民ですので家名は有りません。この国では14歳になると、学力で平民だけが通う学園。貴族と平民が通う学園のどちらかに通うことが義務付けられています。貴族だけの学園はありません。というのも、元々は貴族だけの学園の所に徐々に勉強をして学力が強くなった平民が通うようになり……今では平民の方が人数が多いので、新たに平民だけが通う学園が作られたのです。
私は平民とはいえ、貴族御用達の商会を営む商会長の娘。父にお金は有りますから、良い家庭教師を付けて頂けたおかげで貴族と平民が通う学園へ入学出来ました。そこには、私の婚約者であるハルティン様がいらっしゃいます。年齢は私の1歳上で、伯爵家の御子息です。この国の伯爵位は多いですが、長年伯爵位を賜っている家もあれば、陞爵により最近伯爵位を賜った家もあり。様々です。
ハルティン様のお家は長年伯爵位を賜っている家柄ですが、ハルティン様のひいお爺様の代から領地を現状維持するのが精一杯、という当主の方がハルティン様のお父様で3代続いていらっしゃいます。領地を富ませる事が出来ず、ほかに何かされているわけでは無いので収入は変わりません。しかし、貴族という対面を維持するために出費は嵩みます。おまけに、ハルティン様のお母様は、やや浪費家……。支出が増加して財政が圧迫されたので、有り体に言えば持参金目当ての婚約をハルティン様のお家では望まれておりました。
しかしながら、10年程前に国に起きた豪雨災害で、あちこちの貴族が自家と自領を守るのに精一杯。という事で持参金目当ての結婚など貴族相手では無理。そうしてハルティン様のお家から婚約を打診されたのが、私の実家でした。ちなみに、我が家だけでなく、この災害がきっかけで、それなりにお金のある平民と貴族の子息・令嬢との婚約が次々と成立しています。
何処の貴族家も似たり寄ったりなのかもしれません。
ですから、私と同じように政略的な婚約を結んでいる平民はそれなりに居ました。見返りですか? いくら平民が多くなり、平民がお金持ちになって来たとはいえ、まだまだ貴族社会の国ですから、見返りと言える程の見返りなど殆ど有りません。
そんなちょっと理不尽な婚約は、私が10歳の4年前に結ばれました。
当時11歳だったハルティン様とは、友達のように話したものです。貴族令嬢とは違い、庭を駆け回る事が好きなお転婆娘だった私。婚約が結ばれた当初は、ハルティン様とハルティン様の王都にある伯爵邸の庭を駆け回ったものでした。そういった意味では、婚約当初は仲が良かったと言えます。
私はまだ身分差など理解しておりませんでしたし、立場もあまり理解していませんでした。だからいつの間にか好きになっていたハルティン様が実は私の結婚相手と知った時には、飛び上がる程嬉しかったものです。
ですが……。
婚約して1年が過ぎた頃には、ハルティン様のご両親から疎まれている事を知りました。婚約者として顔を合わせるわけですが、伯爵家へ赴く事の方が多かったからです。私が持参金付きで伯爵家に嫁ぐから伯爵家に立ち入れている。そういった話というのは、伯爵位のメイド達のお喋りから聞きました。私は大人しくジッとしていられない平民でしたから。
洗濯や掃除をしているメイド達のお喋りから様々な事を知りました。貴族の妻として、私は色々と足りない……有り体に言えば淑女教育がされていないこと。ハルティン様のお母様がお金を使うから、そのお金が足りなくて私と結婚するのに、ハルティン様のご両親は私が平民なのが気に入らない事。マナーも知らないから伯爵夫人とは名乗らせたくない事などなど。
あまりにも悔しくて。私は淑女教育が出来る家庭教師を父に雇ってもらい、教えてもらいました。結婚するのは学園を卒業した1年後。私が18歳を迎えてからです。6年か7年でやれるだけの事をやろうとしたのです。そうして14歳。入学した私は、どれだけ成長したのか分かりませんが庭を駆け回るような少女でないのは確かでした。
淑女教育が進むに連れてハルティン様とお会いするのが少なくなっていきました。始める前は週に一度。始めた頃から月に一度。ハルティン様も伯爵位を継ぐための勉強をされているから仕方ない、と我慢をし。会えない間は週に1回手紙を出しましたが、ハルティン様からのお手紙は3回に1回くらいのもの。それでも誕生日にはプレゼントをもらいましたし、私も贈りました。月に一度会える時は、今まで頂いた髪留めやハンカチなどを持って伯爵家まで行きました。
でも、ハルティン様が入学された年、月に一度が2ヶ月に一度。3ヶ月に一度に変わり……その上、会話もあまりなくなってしまいました。きっと学園が忙しいから、と我慢をして。私が入学したならまた昔のように話せると思っていたものです。ですが、入学してもハルティン様からお祝いのお言葉一つ、お手紙一つ無く。会いに行こうにも学年が違う教室には余程の用事でもない限り立ち入り禁止と学園の規則。お昼時のビュッフェはとても混んでいて探すのに探せず。放課後にあちこち探し歩こうにも、私も友達作りや勉強で時間が無く。
そうしているうちに1ヶ月も経つと、その噂が耳に入りました。
ーーハルティン様には恋人が居る
というものです。婚約者が居ても政略結婚の場合、学園で恋人が出来る方も毎年いらっしゃるようで。とはいえ、その数は少ない……つまり普通はそのような不貞と言われる状況を作り出す事は無いわけです。逆に言いますと、噂になる程の関係は、婚約者との関係が良好とは言えないので。婚約者が居ながら恋人同士だという噂になると、本来ならば宜しくない事なのに、寧ろそれでも恋愛を貫くという事で応援される事にもなるそうです。
……そんな。
つまりそれは、ハルティン様が、私という婚約者が居るにも関わらず、恋人との仲が睦まじい事を公言されている、という事でしょうか。
という事は皆様、ハルティン様と恋人のお味方……?
私は2人を引き裂く悪女とでもいうのでしょうか……。
あまりの事に泣きたくなります。まだ誰も私がハルティン様の婚約者だと知らないから、悪意の的になっていませんが……。元々私とハルティン様の婚約が先で、引き裂く悪女は恋人の方だというのに……。もし、私がハルティン様の婚約者だと知られてしまったら……と想像するだけで恐ろしさに身震いしてしまいます。それからおよそ半月経った頃でした。
私は見てしまったのです。
偶々図書室に本を返しに行き忘れていたので、近道として普段は通らない場所を通りかかった時。ハルティン様の後ろ姿とそのハルティン様に寄り添う女性の後ろ姿が視界に……。噂は真実だったのです。
「ハル」
「うん?」
「わたくし、ハル以外と結婚したくないのに……お父様が縁談を持って来たの」
「なにっ⁉︎」
「どうしたら……」
「ユーリの家は男爵家。だが、俺の婚約は相手の持参金目当てなんだ……」
「ウチは、あまり持参金が出せないわ」
「それだと俺とユーリが結婚するのは難しい……」
「そんなっ」
「一つ、方法は有る」
「どんな?」
「俺が婚約者と結婚した日にユーリが愛妾としてやって来るんだ。ユーリが来てしまえば、俺の婚約者は平民だ。身分を出せば口答え出来ない」
「愛妾? 正妻になれないの?」
「子どもが出来ないと分かれば、離婚出来る。そうすればユーリが正妻だ」
「つまり、数年は愛妾で我慢すれば良いのね?」
「そうさ。だって、所詮、俺と婚約者は政略的な婚約なんだから」
「ふふっ。ハルってば悪い人。婚約者さんが知ったら可哀想よ?」
「結婚までは内緒さ。噂だってあくまでも噂、と言えば、分からない」
そのまま、ハルティン様は恋人の方と共に去って行きました。私が見て聞いていた事も知らず。
ーー政略的な婚約なんだから。
確かにその通りです。
でも。
私は貴方が好きでした。
負けず嫌いの性格で貴方の妻に相応しい、と認められるように頑張る程には。
ですが、貴方にはその努力は不要だったのですね……。
私と我が商会と父には何の利点も無い婚約。有るのは、高位貴族の方と知り合う事が出来るという一点のみ。寧ろ、多額の持参金付きで嫁ぐこちらの方が不利益です。だから、私が婚約を無しにしたい、と言えば、父が何とかして婚約を解消してくれるのは解っています。
それでも。
あんな事を聞いたのに、やっぱりまだハルティン様が好きな私は、婚約を解消して欲しいとは言えず。
それに。
負けず嫌いだったから、伯爵夫人として認めてもらえるように努力した事が無駄になるのも嫌でした。
その私の頑張りを、最初は平民という事で(うちのお金が無ければ困るのに)あまり良い顔をしなかったハルティン様のご両親も、伯爵家の使用人達も、最近は私を認めてくれるようになっています。更には領地にも顔を出している私。領民達も私を認めてくれました。気の早い人は「若夫人」とも呼びます。
そんな状況で、婚約を解消なんてしたくない。特に領民の皆さんは、少しずつ貧しくなっています。その領民の為にも私の持参金は必要なのです。それなのに、ハルティン様は恋人の方と仲を深めて私との仲を深める機会は無い……。政略的なもの、と解っていて私を蔑ろにするなんて馬鹿にされているわけです。
それが解っているくせに、それでも好きな私も大概愚かなのでしょう。
ーーいつか、あの方は私に振り向いてくれるでしょうか……
そう願ってしまう私も、恋愛にうつつを抜かしているのです。
それから私はハルティン様と積極的に関わろうとするのをやめました。義務として誕生日にプレゼントを贈り贈られる関係。それでも、それすら嬉しいと思う私は本当に愚かです。入学してからお会いした事なんて一度も有りませんが、両親やハルティン様のご両親には、学園で毎日お会いしますから、と私的にお会いする事が無い事を誤魔化します。そんなフォローすら私が行う。それでも。
ハルティン様が好きな私は、本当に愚かです。
やがて1年が経ち。2年が過ぎました。相変わらず、ハルティン様は恋人の方と仲睦まじく。私との交流は有りません。本当に。何一つ。誕生日のプレゼントだけです。いえ、それが有るだけマシなのでしょうか。ハルティン様をお見かけする事は有りますが、ハルティン様は私が学園に在籍している事をご存知なのでしょうか。いえ、知っていらっしゃいますね。
だって、私は学園の定期試験で常に10位までに入ってますから。10位までに入ると各学年、名前が公表されるのです。平民で女が10位以内なのは、現状全学年中、私だけ。高位貴族令嬢の方や平民の男子はいらっしゃいますけど。だからハルティン様は私が在籍している事をご存知のはずです。それでも、何の反応も有りません。本当に私の頑張りはハルティン様にとって不要のようです。
そういえば。ハルティン様はご両親に、恋人の方について、どのように説得されるのでしょう。私が納得している、とでも仰るのかしら。納得どころか何の説明も有りませんけど。そんな私の思いを嘲笑うかのように、ハルティン様が卒業される年に、事件は起こりました。
久しぶりに伯爵家から呼び出された私に、伯爵、伯爵夫人が頭を下げられます。その隣には青い顔色のハルティン様と、勝ち誇ったような表情の、おそらく恋人の方……。一体なんだというのでしょう。
頭を下げたままの伯爵様からお聞きしたのは、ハルティン様にお子が出来た、というものでした。
私はあまりの事に言葉を失います。伯爵様は領地経営は凡庸ですが、真面目な方。このような事を許される方では有りません。夫人は貴族で有る事に誇りを持つ方で世間体を気にされます。つまりお2人にとって青天の霹靂。醜聞です。だと言うのに、ハルティン様はそんな事にも思い至らず青春を謳歌した結果ーー
コレですか。
私からハルティン様への信頼が砕けた瞬間でした。
砕けたのは信頼。
ですが、それでもまだハルティン様を恋しく思う私がいます。なんとまぁ、醜い恋心でございましょう。いえ、執着心なのでしょうか。何にせよ、もうキラキラと輝ける恋心では無い事だけは確かです。
愚かなハルティン様。そのハルティン様を未だに恋しく思う愚かな私。
どうやら似た者同士ですわね。
そんな事をツラツラと考えながら、謝罪を口にするハルティン様のご両親。でもその内容は「婚約を解消しないで欲しい」という身勝手な願い。普通は怒る所でしょうが、私はニコリと微笑んで、受け入れます。「婚約解消はしない」と。ただ、私と結婚するより先に恋人の方を愛妾として迎え入れる事と、結婚は予定通り私が卒業して1年後、と。
ハルティン様と恋人の方にとってみたら、最高の申し出でしょう。何しろ、どのように恋人の方をハルティン様のご両親に話して説得しなくてはならないのか、説明の手間が省けましたものね。まぁ、ハルティン様は幸せでございましょうね。
信頼が出来ない相手。
それなのにまだ好きだと思い続ける私は愚かを通り越して滑稽でしょう。
ああ、この恋心が無くなれば良い。
でもやっぱり有って欲しい。
今まで学んだ事を捨てられない。
伯爵領の領民達を捨てられない。
本当に、私は愚かです。
さすがに私の両親もこの一件を知って、婚約解消を問われましたが。私は領民達のために解消をしない、と答えました。両親は渋々引き下がりました。両親から伯爵領の領民達のために、と聞かされたハルティン様のご両親は、私に感謝してようやく心から私の存在を認め、受け入れてくれました。ハルティン様と恋人の方は私が嫁いで来るまで、伯爵家の片隅に有る取り壊し寸前のような離れに押し込められているそうです。あらまぁ。
月日が経ち、私の卒業する年にハルティン様の恋人の方がお子を産みました。それがまた私とハルティン様の関係を変えるものでした。
恋人の方がお生みになったのは、ハルティン様の金髪碧眼を譲り受けておらず。恋人の方自身の薄い茶髪に群青色の目も譲り受けておられないお子。燃えるように赤い髪と黒い目の男の子。一体、どなたのお子なのか。私はその知らせを受けても平然としておりました。
実はハルティン様と恋人の方がまだご卒業される前に、密やかにある噂が流れていました。曰く。ハルティン様の恋人の方は、婚約者のいるハルティン様とのお付き合いに疲れて、別に恋人が出来た、というもの。どこの誰とも分かりませんでしたし、そもそもその噂も事実無根だったのか、何かの圧力がかかったのか、いつの間にか消えてしまいましたが。多分、ハルティン様のお耳に入る前には、或いはわざとお耳に入れずに、誰か権力の有る方が消したのでしょう。
私はその噂が不自然な形で消えたからこそ、噂が真実なのだろう、とも思っていました。そして今。恋人の方がお生みになった子がそのような色で有るならば……尚、噂が真実味を増したというものです。私がハルティン様と結婚する前に恋人の方は、ハルティン様に別れを切り出され、離れを追い出されたそうです。
そして。
どうやら恋人の方の真実を知ったハルティン様は、何を思ったのか、私にこれまでの態度を謝り仲を深めようと、積極的に関わって来られました。私は全てを淑女教育で習った凪の微笑み(感情の無い穏やかな微笑み)で受け流しましたから、表面上、私とハルティン様の関係は婚約当初のように仲睦まじい関係に復活した、と周囲からも思われた事でしょう。
時が経ち。私は、とうとうハルティン様と結婚致しました。その初夜のこと。
「ああ、ロッティエ。今日からは宜しくね」
「はい、ハルティン様」
「ハルと呼んで欲しい」
「それは、無理ですわ」
「無理? 何故?」
「恋人の方が呼んでいたでは有りませんか。私はただの政略結婚の相手。恐れ多いですわ。確か、予定では私との結婚の日、恋人の方を愛妾としてお迎えになられて私は子が産めない女として数年で離婚される手筈でございましたね」
私が静かな口調で話せば、顔色を真っ青にするハルティン様。
「な、何故、それを……」
「恋人の方にお話されていたのを聞いてしまいましたの」
「そんな……」
「何故、そのような表情を? 恋人の方は居なくなってしまわれましたが、他の方をお探しして下さいな。私はハルティン様と閨を共にする気は有りません」
ハルティン様は、愕然とした表情を浮かべられましたが、私はニコリと笑って夫婦の寝室を出て妻専用の部屋に戻り、眠りにつくことになりました。
翌朝、神妙なお顔でハルティン様が話し合いを希望されたので、私は頷きました。
「済まなかった。もうロッティエを傷つけるような事はしない。愛妾も要らない。妻は君だけだ」
「……そうですか。子が出来ない時はどうお考えで?」
「その時考えるとする。それよりどうしたら許してくれる?」
泣きそうなお顔でハルティン様が私に謝ります。私は一つ溜め息をついてから答えました。
「許すも何も。ただの政略結婚と仰ったのは、ハルティン様。確かに、その通りです。だから好きも嫌いも感情など関係なく結婚するだけ。そうでございましょう?」
「それは……」
「ただの政略結婚。個人的な意思は不要なのです」
「……済まなかった! ロッティエにそのような気持ちを抱かせてしまって済まない!」
「いいえ。本当のことですから。ただ……その言葉を聞いた時。私が伯爵位を継ぐ貴方のために勉強したこと、マナーを学んだこと、淑女教育を受けたこと、全てが無かった事にされてハルティン様の事は諦めました」
「諦め……?」
「それまで築いてきた信頼関係を一気に壊したのです。私の心からハルティン様への信頼は消え失せました」
驚いたような顔をされます。
「それは。俺を嫌いになった、と?」
何故、不安な顔をされているのでしょう?
「いいえ。未だに私はハルティン様を恋しく思っています」
この言葉に、何故かハルティン様は嬉しそうな顔を見せます。でも、私は言いたい事があるので、続けます。
「ですが。執着にも似た恋心が消えないだけ。信頼は築くのに時間がかかりますが、崩すのは一瞬なんです。そして信頼が消えた恋心は、ただの醜い執着心。それだけです。……私は今後、ハルティン様のご両親のために。領民のために尽くしますわ」
話し合いはこれで終わりました。ハルティン様の表情が何故か絶望感に溢れていましたが、きっと気のせいでしょう。絶望は私がしたいくらいでしたし、もし本当に絶望されたのなら最初から不貞などしなければ良かったのです。……いいえ、やはり見間違いでしょう。私の醜い執着心が残った恋心が見せた願望なのだと思います。
***
それからハルティン様は、私と過ごす時間を捻出して会話を試みて来ます。贈り物も頻繁に。花だったりちょっとした装飾品だったり。毎日会うのに手紙やメッセージカードも。まるで私の心に信頼を取り戻すように。そして私に愛情を注ぐように。いえ、愛情を注ぐ、というのは言い過ぎですね。貴方の愛は私に向く事なんて無いのです。
ーーだって、ただの政略結婚なんですから。
でも、日々が過ぎて、貴方は私をその目に映す日々。貴方が私を見て恋人の方に向けていたような柔らかい笑みを浮かべます。貴方がやっと振り向いてくれた。そう思ってもいいのでしょうか。けれど、タイミングが悪かったの。醜い執着心が残っただけの恋の残骸になってから、なんだもの。
貴方はやり直せると思っているかもしれませんが、一度壊れた信頼を復活させるのは、難しい。それでも私達の間に信頼を復活させようとするならば。
貴方をそれでも好きだと思ってしまう醜い恋の残骸を抱えたまま、私に貴方の信頼が戻るのか、待っていますね。その時は、またキラキラした綺麗な恋心で貴方を想える事になるのでしょうか。
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