俺と土鍋のいる世界

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 地域の安全を守るために巡回パトロールが毎日実施される。  巡回パトロールは専用に作られたロボットとそれを束ねる団長から構成されたグループが行っている。  団長の俺の元にロボットが2台集まってくる。 「土鍋1号、異常はなかったか?」 「団長、我々は土鍋ではありません」  右にいる土鍋1号が怒ったような声を出す。  ロボットは四輪駆動の足、一メートルの筒型の胴体に極太のストローのような手、土鍋のような頭に顔のパーツをくっつけたような形だった。 「正式名称言うのが面倒なので、これからロボットは全部土鍋で」 「えーーー」  土鍋1号も2号も不満そうな声を上げる。  何事もなかったかのように話を元に戻した。 「土鍋1号、異常はなかったか?」 「A地区、B地区、C地区、異常ありません」 「よし! 続いて土鍋2号、異常はなかったか?」 「D地区、E地区、F地区、路上でおばあさんが亡くなっていましたが、異常はありません」 「そうか、異常ないか、よし! いや、まてよ……」
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