花束に恋文を添えて...

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花束に恋文を添えて...

一 「きみたち、我が郷土探検クラブの業務については心得てる?」 縄ヶ文高校(なわがふみこうこう)郷土探検クラブ部室にて、顧問の化賀鈴女(かがすずめ)の声が木霊する。 「はい、ツチノコを捕まえることです先生」 「瑞季さん、都市伝説の生き物を捕まえる部活じゃあないんです」 「はい、河童を捕まえる事でしょうか先生!」 「束田さん、うちは妖怪ハンタークラブじゃないんですが」 「はい、縄ヶ文高校周辺の、地域の歴史ってみんな知ってるようで知らないことを調査する部活です先生」 「歌多くん、そうですね。郷土探検クラブは知っているようで知らない地域の歴史を調べるのが、うちの業務ですね」 「ここで最初の疑問なんですが、何故に我が郷土探検クラブは部員が七名しかいないんでしょうか?」 歌多が唐突に疑問を口にする。 「コロナの影響で、活動できる人数が制限されているからです。七名しかいなくても、皆さん一生懸命、調査結果を報告してくれています」 「学校側が生徒の将来性に繋がらないと判断したからでは?」 即答する化賀に歌多は食い下がる。
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