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お兄ちゃんの不満
「よっしゃ攻撃〜」
「あっ!」
「はいライフ0でオレの勝ち〜」
「はぁ〜、5れんぱい」
「はっはっはっーっ、まぁそんな気を落とすな、兄ちゃんの方が強かっただけさ、はっはっはっ」
オレは学校の帰り弟と家でいつものようにテレビゲームで遊んでいた。当然兄であるオレの勝ち、つっても12才のオレと4つ下の弟の陽之丸8才これだけ年が離れてるんだから当たり前。でも陽之丸は下を向いて深刻な顔なんだか悔しそう。
「ほら元気だせよ」
「ボクへた」
「いんや、兄ちゃんが上手いだけさ、なっはっはっ」
「・・・あ、お母さんに『お兄ちゃんに買い物頼んできて』って言われてたんだった」
「え、オレに? おいおいそういうことは早く言えよ」
「ごめん兄ちゃん」
弟は結構なウジウジタイプで物事を判断するのにかけてる。そのおかけでオレはよく時間に追われることもしばしばあって大変、そんなに悩む必要あるのかとさえたまに思う。
「――はいよ、母さん」
「ありがとう、冷蔵庫に入れといて」
なんだかんだで買ってきたオレ、でも弟はテーブルでゲームをしていて立ち直ったみたいだ。それにしてもこっちは買い物に行ってきたのに呑気にゲームしやがって。
「おい、陽之丸っ、ゲームしてねえで勉強でもしろよ」
「え・・・」
「ほら」
「ボクまだ・・・ゲームしてたい」
「兄ちゃんはなっ、ゲームをやりたくても我慢して買い物に行ったんだぞ」
「え〜・・・ボクかんけいあるの?」
「おまえは兄ちゃんがかわいそうだとおもわ・・・」
「柚希っ、静かにしなさい」
そしてさらに母さんは料理をしながらあのキラー言葉を放つ。
「母さん、だって・・・」
「あんたはお兄ちゃんなんだから」
でたよ『お兄ちゃんなんだから』、
何かあれば『お兄ちゃんなんだから』、
唐揚げをオレが多めに取って弟が泣けば『お兄ちゃんなんだから分けてあげなさい』、
オレの大事なプラモデルを棚か落とした弟を怒ると『お兄ちゃんなんだか許してあげなさい』、
お兄ちゃんおにいちゃんオニイちゃんオニイチャンおにいちゃ・・・だーもーお兄ちゃんって何なんだよっ、ずるいっ、卑怯だ。
「母さんっ、兄ちゃんだからっなんでいつもオレが」
「だって〜・・・」
「だって?」
「だって・・・」
「ゴクッ」
「お兄ちゃんだから」
結局それかよっ、くそっ、モンスターの弱点を付くみたいに同じことばかり言ってきて、こうなれば一家の大黒柱の父さんに聞いてやる。そう、こんなときこそ頼りになるのはきっと父さんだ。
「――お父さんはお母さんに賛成」
「やったー」
「ガーン・・・なんでだよ」
「陽之丸は柚希より4つ小さいんだから分からないことが多い年頃なんし、お兄ちゃんがしっかり弟の面倒を見なくちゃいけないとお父さんは思うな」
「ぬぬ〜・・・」
「兄ちゃん」
「ふんっ」なんだいなんだい父さんなら分かってくれると思ったのに、その後も長男だった父さんの自慢話を聞かされたがモヤモヤはおさまらない、それならこっちにだって考えがある。
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