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さて、彼は私にとってなんだろう。という問いに答えを出すなら、ただ一つ。
ーーピコン。
「すみません。よく聞きとれませんでした」
「っえ、また反応した」
「ちゃんと切ってなかったんでしょー?
それより、よく聞こえなかったらしいよ。もう一回言ってあげれば?」
「ペットみたいにすなよ!」
こうしてみれば、私と彼だけの時には得られなかった彼の感情を感じる。ならば、こんな二人を見守っていくのも悪くないのかもしれない。ここまで支えてきた甲斐もある、と言ったところだろうか。
彼は私にとって人間として会いたい存在。どうやらそれが、私の答えのようだ。
もし生まれ変わったら、今度は人間になってみたいものである。もしそうなれたら、降り積もってゆくのはきっと『しあわせ』というやつではないだろうかーー
了
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