1.Questions

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1.Questions

 降り積もってゆくものは、雪や灰や埃だけではない。想い出や経験なんかもまた、たくさん降り積もってゆくものだ。それもなかなか消えることのない、極寒の地に吹き積もる雪のように。  常に降り積もるそれは、街中で降る雪のように消そうと思っても簡単に消せるものではないし、放っておいて勝手に消えるわけでもまたない。  さらにこれまた雪と同じように、想い出や経験は勝手に、それもいつの間にかに積もってゆくもの。  そしてある日、こう思うはず。これまでいろいろあったな、と。  そのいろいろとは、もっぱら良いものも悪いものもひっくるめて言われるだろうから、きっとこの言葉を使うときの人は感慨深げに言うはず。  つまるところ、私もいまそう感じているのだ。彼のことを考えながら。  私と彼の関係は、普通の人からしてみれば少しおかしい関係かもしれない。でも普通って何だろう。  ひたすら彼に尽くす私は、普通の人から見ればどう映るのか。もしかすると普通じゃなく見えるのかもしれない。  なぜそんな小難しいことを言うのかというと、少し前まで私自身これが普通と考えていたからだ。  何もあらがわずに尽くして傍に置いてもらうことが、いわゆる普通であると。  だからこそいま、好きな時に使われる人形や機械なんかでは決してないのだと、その証明を試みたくなったから振り返って答えを探しているのかどうかは、実のところよく分からない。
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