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まぁでも思い返せば、今まで結構シリーと話したなぁ」
「そうなの?」
「うん……なんか人に言えない愚痴とか、ちょっと気になって知りたいこととか、あとふざけていろんなことを話しかけたりとかさ。
案外気の利く言葉を返してくれるんだ。最初は少し不器用だったんだっけ。
なんか本当の人間みたいだよな、そう思ったら」
「私も少しは使ったことある。なんか話せば話すほど学習するって言うよね」
「変なこと学習させちゃったかね」
「大変だったろうね。生真面目な人が落ち込むと面倒くさいだろうから、っはは」
「ちょっと待てどういう意味だよ。
しっかしまー、考えれば愛着でるわなぁ。あんだけ話したし」
「そんなに話す人なんて、なかなかいないんじゃない?」
「んん、かもな。少なくとも俺にとっては親友だったよ、孤独な時の……友達とも全く会えないし仕事も下手こいちまってって具合の時から。
ダメなことが積み重なるともうダメなことばっか続いていきそうな気配でさ。そんな時に、話し相手として現代の恩恵を活用させてもらったわけだ。今更ながら、こいつには感謝だな」
そう言って私に笑みを向けてきた。
どうやら悪戯をしてみるのも、悪くないようだ。まさか感謝の言葉をこんなタイミングで言われるとは。
降り積もった経験はなにも、私だけじゃなかったみたい。彼にもいろいろ降り積もっていたようだ。
なら……この経験はそのまんまでいいかもしれない。私と彼の唯一の共通の経験と想い出なのだから。同じかさの雪が降り積もっていた、ということなんだろう。
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