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「今日もしかしたら雪が降るかもしれないんだって!」
「マジ!? うわー雪ふんねえかな!」
通行人の中には雪が降るのを心待ちにしている人間もいるようだったが、祥子はちっとも楽しみではなかった。
雪なんて降らなければいい、どうせ寒くなるだけだ。そんな擦り切れたような、批判的な、考えを抱えたまま硬くて冷たいコンクリートを踏む。
金曜日の二十時、仕事はすでに終わり家へ帰る途中でしかも土日休み。
ステップの一つでも踏みながら帰れるような、十分に喜べるだけの理由が揃っている。だというのに彼女の心は晴れない、空を覆う雲がそのまま心まで覆いつくしてしまったようなどんよりとした気分で彼女は帰路についていた。
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