恋には届かないけれど…

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 俺は急いで帰宅し、酒を飲む間も無くIROHAさんの小説を読みだした。  彼女の短編小説はいつ読んでもまとまりがあり、意外性があり、綺麗な文だった。その文体やアカウントのプロフィールからIROHAさんは女性なのではないかと密かに思っている。  だからなんだという事にもなるが、まあそう思っているだけの話だ。  俺は久しく彼女の文を読んで涙を流した。  彼女の描くストーリーが悲しかったからではなく、彼女の書くストーリーから伝わる小説の楽しさや、作者の温かさが俺の冷たい心を癒したから涙が出たんだ。  いつからか、俺は小説を書く楽しさを欠いて人ウケるようなモノを思い描いた。だが、小説とはそういうモノではない。  小説はどこまでも自由で、読んでいると胸が温かくなるモノなんだ。  俺は一夜にして彼女の…IROHAさんのスターと文章に救われていた。  『IROHAさん。お久しぶりです。   IROHAさんの作品を読むためにこのサイトに戻って参りました』  そんな文は感謝を言いたい気持ちを素直に言い出せなかった、口実でしかない。だが、感謝の気持ちは必ず伝えるつもりでいたから、次からの文は感謝の気持ちを綴った。 『こんなコメント欄の場で言う事でもないのですが、スターを毎日送ってくださりありがとうございます。  とても励みになります。このサイトではもう書くことはないと思っていたのですが、考えを改めようかと思います。  IROHAさんの小説はいつでも意外性があり、読み応えもあります。私もIROHAさんに負けないよう、これからも頑張ります』  こんな文章がどれだけ彼女に…IROHAさんに伝わるかは分からない。伝わらなくてもいい。ただ、俺はあなたの毎日のスターに救われたのだと伝えたかった。
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