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そして、コメントをしてから一晩が経ち返信のメッセージが届いた。
『作品へのレビューありがとうございました!
UENOさんへの心ばかりの応援のつもりでスターを送りました』
心ばかりの応援というが、彼女のIROHAさんのとった行動はどんな声援よりも俺の背中を押してくれているとそう思った。
『小説を書いていても、読み返して見たら面白くないと感じたりして辛いこともあります。それでも、書くことが好きなんだと思います』
全くその通りだ。
俺は言われなければ分からないバカだから、そう言ってもらえる人は貴重だ。これだけの応援をもらって書かないなんて選択肢はなかった。
それ以上に書きたくて仕方がなかった。IROHAさんとのやり取りで思い付いたストーリーがどんどん膨張していくのを感じて、すぐにでも書き出さないとこの胸の高鳴りは消えないだろう。
こんな気持ちになったのは、きっとIROHAさんに出会う以前だ。
俺は次の日も会社に行くという事を忘れてパソコンと向かい合った。
これまでの辛かった執筆生活や会社での事を思い、IROHAさんから頂いたスターのことを思い、全てを一つの小説にのせた。
自分に酔っているようで面白くはないだろう。
この話をIROHAさんが見たら引くかもしれない。
そう思うことがあったが、この作品を書き終えた時俺は考えることもなく、投稿した。
『恋には届かないけれど…』
この小説は小説投稿サイトでの関わりをきっかけに恋に落ちて行く恋愛ストーリーだ。
俺は彼女に恋をしているわけではない。ただ、深く感謝をしているだけに違いないんだ。けれども、その思いがいつの日囲いになることだってあるのかも知れない。
まあ、大体はないのだろうが。
それでも、彼女…IROHAさんの素敵な行動は人を恋に落とすには充分だと思う。
対面した事もないのに、声を聞いた事もないのに。写真すら見たことがない。
それなのに、俺は彼女が素敵な人だと断言出来る。いいや、もしかしたら彼なのかも知れない。
性別なんかよりももっと人としての深く優しいものに触れたから、俺はその思いを受け取ったと証明するため小説を書いた。
これはラブレターじゃなく、俺からIROHAさんへの感謝と宣戦布告だ。
でももし、こんなサイトから恋が始まったとしたのなら。
それはそれで面白いのかも知れない…。
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