第1話

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第1話

「おはよう〜。」 みんなが朝の挨拶をする中、もちろん俺は机に突っ伏したままだ。 俺は『三鍵 唯人』 イジメを受けている以外は特に取り柄もない高校2年生。今はあるアプリにはまっているぐらいだ。 『The lost world』という自分の要塞を育てあげ、他のプレイヤーの要塞を落としたり、逆に協力して守ったりもできる。このゲーム、どちらかといえば日本人にはあまり人気が無く、海外に(ロシアが特に)人気がある。 このゲームの中で日本人はカモにされていて、それにムカついた俺は今まで貯めた貯金全てを使って最強の要塞(ロストエデン)を創り上げた。 やり過ぎたおかげで、俺のいる66ワールド(ワールドはたくさんある)は、俺しかいなくなってしまった。 みんな他のワールドへ移ったか、ゲームそのものを辞めてしまったのだ。 それも仕方ない。俺の要塞レベルは80。これがカンストだ。それに対して、他の人の要塞レベルは一番高くて38。全く相手にならない。 そうして、暇だから他の要塞を攻めまくった結果が無人のワールド…というわけだ。 今日は何事もなく学校が終わって欲しい。と祈って机に突っ伏している。 「あれ〜?三鍵、お前まだ学校来てんの?来るかね、フツー。」 「アハハ、あれだけやられたらフツー来ないっしょ。マゾだよ、マゾ!」 『矢島 光輝』とその彼女の『遠藤 加奈子』が笑いながら俺の席へと近づいて来る。 それを皮切りに、その取り巻きどもの『赤井 秋』や『鳥井 奈美』も近づいて来て、俺をイジリ始めた。 他の奴らは見て見ぬフリだ。関わるとロクなことにならないからだ。 「ちゃんと教科書持って来た?あっ!三鍵の教科書、泥だらけだっけ?」 4人で笑いながら、矢島が俺の髪を引っ掴んで無理矢理顔を上げさせる。 「返事しろよ!俺寂しくて泣いちゃうよ?」 その時、チャイムと同時に担任の『向井 透』が入ってくる。この4人もクズだが、この担任もクズだ。今のを横目で見て、 「三鍵、遊んでもらって良かったな。お前友達いないから先生心配してたぞ。」とか、ほざきやがる。 「さて、出席を取るか。赤井、井上…」 と、順に出席を取っていき、「三鍵、おい!三鍵いないのか?」 さっき、声かけたくせに。こういう奴だ。 「はい…」 「全く、返事をしろ、返事を!そんなんだから…」 と説教が始まろうとした時、教室の床が青く光り魔法陣のような模様が白く浮かび出した。 「なん…だ。これ!」「きゃあああ。」 男子は驚き、女子は悲鳴をあげている子もいる。 「みんな、落ち着くんだ。その場を動かないように。先生がついて…」 その瞬間、俺の意識は途絶えた。 朦朧とした意識の中、機械音で声が聞こえる。 【スキル習得エラー……】 続いて、心地良い声が聞こえる。 「あら、困ったわね。一人多かったみたい。予定していたスキルは全て与えてしまったわ…どうしようかしら。」 「お姉様、どうするのです?」 「あなたは何か持って行きたいものはあるかしら?1つだけだけどね。」 (なんの…ことだ?あぁ、それよりロストエデンで兵を作らないと…ウランや、レアアース、鉄の資源も回収しないと……) 「あなたの持って行きたいものは、ロストエデンね。じゃあ、それにしましょう。」 「お姉様!!それはオーバーテクノロジーです!世界のバランスが一気に変わります!」 「あら、良いじゃないの。召喚はあの国が勝手にやったことだもの。私たちがやったことではないわ。それに、スキル無しじゃ可哀想だわ。すぐに死んでしまうでしょう?」 「それは…そうですが…」 「さて、決まったわね。じゃあ、いってらっしゃい。あなたが何を為すのか興味あるわね。」 (早く副官に…指令を与えて…それから、兵を…) そう思った時、再び意識が途絶えた。 その日、六大国だった世界にロストエデンが出現した。
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