その背中を追って

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 僕らが中学三年生だった冬、安彦の引っ越し先で大きな災害が起こった。沢山の人が亡くなり、いなくなり、あるいは大けがを負った。  安彦も、その一人だった。  それから一年と数か月後、僕は高校二年生になっていた。  もちろん、陸上は続けている。安彦との約束を果たすことは出来なくなったけど、彼のもう一つの言葉を嘘にしたくはなかったのだ。 『きっと高校生になる頃には、もっと速くなってる!』  彼の言葉通り、僕はメキメキと実力を伸ばし続け、遂に全国への切符をかけた大会に挑むことになった。  地方大会の決勝という大舞台に。
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