3人が本棚に入れています
本棚に追加
『位置について』
審判の合図で、選手それぞれがスターティングブロックの前に移動し、かがみこむ。
僕は一番端の第一レーンだ。右側にずらりと、ここまで勝ち残って来た強敵たちが並んでいる。いずれも各県を代表する選手達だ。
全国へ進めるのは、この内の上位数名のみ。
『用意』
――腰を持ち上げ、クラウチング・スタートの姿勢に入る。
この数瞬後に運命の号砲が鳴る。スタートが早すぎればフライングになり、遅すぎればその時点で負けが確定する。
短距離走で最も緊張する瞬間だ。
そして――パンッ! と乾いた音が響き、僕らは一斉にスタートを切った。
最初のコメントを投稿しよう!