◆3発見

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◆3発見

◆3発見 ────────────────── 自宅は殆ど片付いていない。 必要最低限の物だけを段ボール箱から出し、仕舞うべき場所へと収めた。スライムは相変わらず飼育ケースの中にいる。昨日1日観察をしたが、ここから逃げ出す素振りはなさそうだ。 今日は中央司令部へと赴かなくてはならない。いや、違うな。『今日は』ではなく『今日から』が正しい。 前もって知らされていた時間に、指定されていた場所へと行く。扉を叩けば即時の返事、僕はその部屋へと足を踏み入れた。 ────────────────── 中央管轄区司令部即応部隊第6小隊。これがこれから僕が所属する場所。僕はエンジニアだと言うのに、ここ数年はずっと前線部隊だ。 僕を含めて30人。その大半は新規の志願兵となる、そう聞いている。 あまり人と関わりたくないから、隅っこで人間観察をしてみる。隊長であるリアン・コーネリアは爽やかが服を着て歩いている感じだ。副長であるアイゼン・アレスとは初めて会うがどうだ?アオイと言う名の随分と前線部隊に似つかわしくない人は、僕に不思議な言葉を投げ掛けた。 そしてイーヴル・レイトン。この人はどう転ぶかわからない。 顔合わせが終わり、本格的な始動は明日からとなる。面倒を避けたくて、僕は早々に帰宅を決め込んだ。今日も夕飯を作るのが面倒くさくてコンビニに立ち寄る。おにぎり2個と缶アルコール、それと今日は枝豆を購入した。 ────────────────── 自宅に戻ると持っていたバッグを投げ、購入したものはテーブルに放置。シャワーを浴びて漸く一息つける。 おにぎりを頂き、今日も缶アルコールを開けた。枝豆をつまみながら、ふと気になる事を試そうと思った。 ──ピーナッツの殻は食べたよな?じゃあ、枝豆のさやは? それはささやかな好奇心。スライムが入った飼育ケースをテーブルに置くと蓋を開けて、枝豆のさやをそっとスライムに刺し込んだ。昨日みたいにしゅわしゅわと消滅するのだろうか?どう言う事象が起こるのか、楽しみにそっと観察する。 …。 あれ? そう、何も起きない。さやが消滅しない。それどころか…。 「いて!」 生意気にもスライムは枝豆のさやを飛ばし返してきやがった。さやは僕の頬に綺麗に当たる。 「お前、贅沢だな」 飛ばし返されたさやを適切に処分した。 本日の発見。 スライムは枝豆のさやは好まない。そして好まないものを刺し込まれると、飛ばし返して来やがる。 ──────────────── 2021/12/23/◆3発見
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