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二人がそう唱えた瞬間、二人を中心に風が舞い上がった。それから今までフィールド上にいた小型のモンスターの姿が消える。風が吹き終わるとそこは別空間になっていた。これはザヴィルシャーユで代々行われている、冒険者同士の正式な力比べの方法なのだ。普段生きているフィールドと次元を隔てることにより、ザヴィルシャーユの大地を無駄に傷つけることがない。
こうすることで、力比べを行う冒険者同士も、何も気にすることなく戦えるということなのだ。
次元を隔てたフィールドにいるキリクとバルドートは、楽しそうに笑い合っていた。
「遠慮は無用だ。来い、キリク!」
バルドートはそう言うと、両手に二振りの剣を顕現させる。キリクも両手を下げ、その両手に大きな両手剣を顕現させた。
キリクは両手剣をグッと握ると、一気にその地を蹴る。両手剣の重さを感じさせない身軽なキリクの動きにバルドートは嬉しそうだ。キリクはバルドートの間合いでピタッと止まると、その大きな両手剣を横になぎ払った。バルドートはその動きを読んでいたのか、
「甘いな」
そう言うとキリクの両手剣が自分に当たるその瞬間に間合いから姿を消した。キリクはそのバルドートの動きに対応出来ず、一度振った両手剣の勢いを殺せずにそのまま振り抜いた。
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