6人が本棚に入れています
本棚に追加
少年は強風に負けない大声で少女へと叫ぶ。その叫びを聞いた少女がニヤリと笑った。少年はその少女の笑顔が癇にさわったのか、その両手に大ぶりの剣を顕現させる。
「愚かだな」
少女の言葉には、両手に剣を携えた少年への嘲りが見て取れた。
一触即発の状況の中、少年の傍に控えていた少女が声を荒らげる。
「貴方の目的は、本当にこの世界の消滅なのですかっ?」
猛烈な嵐の風にかき消されないように叫んだ少女の声に、対峙する少女の笑みは深くなる。不敵な笑みを浮かべながら、少女は言った。
「さぁな」
その一言には、力尽くで聞いてみろ、そう言わんばかりの挑発がにじみ出ていた。両手剣を持った少年はその言葉にギリリ、と歯ぎしりをする。
見た目は自分たちと変わらない年の頃をしている少女なのだが、その身に纏うオーラは圧倒的で、見る者の思考を奪っていくのだ。さすがは自らを『絶対存在』と自称していることはある。
「聞きたいことは、力ずくで私に問うてみるがいい」
自らを『絶対存在』と名乗った少女はそう言うと、今まで浮かべていた笑みをその顔から消し去った。これ以上、彼らに話すことはないと言わんばかりのその表情に、少年の肌がピリピリとした空気を感じ取る。
「さぁ、始めよう。お前たちに未来があると言うのならば……!」
最初のコメントを投稿しよう!