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「もちろんだよ。大丈夫、立派に勇者になって、帰ってくるからさ」
今まさに旅立とうとしているキリクヘと心配そうに声をかけたのは彼の母である。キリクは母を安心させるようにニッカリと笑うと、最小限の旅の道具を抱えて小さな家を出るのだった。
家を出たキリクは真っ直ぐに自分たちの住んでいる村にあるギルドへと向かった。この三年間、腕っ節を上げるために世話になった場所だ。そこでキリクは旅立ちの挨拶をギルドマスターへと行うのだ。
「もう、先の勇者が誕生して五年が経つのか……。早いものだ……」
キリクの顔を見たギルドマスターが、長い白髭を手で撫でながらしみじみと言った。キリクがギルドに登録したのは十四歳の時だ。魔王が討伐され、新しい勇者が誕生してから二年後のことだった。そして十七歳になった今、キリクは村の小さなギルドを卒業し、広大な世界へと出て行くこととなる。
「キリクの情報はこの、ザヴィルシャーユにあるギルドで共有しておく。安心して旅立つが良い」
「ありがとうございます、ギルドマスター」
ギルドマスターの心遣いにキリクは深々と頭を下げた。
「ところで、ミリナの姿が見えないが?」
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