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急いで駆けつけてきたミリナは涙目になりながらキリクへと抗議をする。
「使い魔が教えてくれなかったら、私、私……!」
そう言うミリナの肩には、鷹のような小柄の、目つきの鋭い鳥が留まっていた。キリクはその鳥をじとっと見ると、
「ネヲの仕業か……」
そう言って深くため息を吐き出した。そんな二人を見ていたギルドマスターが疑問を口にする。
「二人は一緒に旅に出るのではなかったのかね?」
しわがれたギルドマスターの声に、ようやくその場にキリク以外の人物がいることに気付いたミリナは、急いで髪を手ぐしで整え、身なりを整えていく。それから慌てたように、
「ギルドマスター、すみません! 遅くなりました……」
そう言って深々と頭を下げた。ミリナの様子にギルドマスターは優しく微笑んでくれている。みなまで言わなくとも、ギルドマスターには何が二人の間に起きたのかお見通しの様子だ。
「顔を上げなさい、ミリナ」
ギルドマスターの優しい声音にミリナが顔を上げる。キリクからネヲと呼ばれたミリナの使い魔は、悠々と高い空を飛んでいた。
「キリクにも考えがあったんじゃろうて。さぁさぁ、二人とも。そろそろ出立の時間じゃ。立派になって帰ってきてくれることを、願って待っているよ」
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