幽明異境

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 彼と出会ったのは数年前。  お互いに一目ぼれだった。  惹かれ合った私たちはしばらくお付き合いをしたあと、一緒に住み始めた。  幸せな日々だった。    けれど、そんな日々は悲しいことに長くは続かなかった。  彼が死んでしまったのだ。  私は喪失感にしばらく何も考えられなかったけれど、四十九日を過ぎてようやく人間らしさを取り戻した。  それから私はありとあらゆる情報をかき集め、彼を復活させる方法を模索した。  死んだ人間は生き返らないという世間一般の常識は私だって持ち合わせていた。  けれど世界には死者復活の事例がいくつもある。  死んですぐに復活したり、埋葬されてから、骨になってからですら、だ。  私はもう一度、彼に会いたかった。  どうしても会って、触れて、話したい。温もりを感じたい。  彼も絶対同じ気持ちだと私は思うのだ。  だから。  新月の今夜。  私は彼を復活させようと思う。
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