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コートの内に隠し家に骨壺を持ち込んだ私はさっそく儀式に取り掛かった。
必要な物は全て揃えてある。
畳にシーツを敷いて、骨壺から干乾びた骨を頭から順に並べていく。
焼骨は砕かれている為になんとなくの配置になったが問題はないだろう。
彼の骨、ということに意味があるのだから。
それから私は赤と濃紺の絡めた糸を身体を模る骨の上に幾重にも重ねた。
これは彼の血管となり、肉を造る重要な役割を持つ。
頭の先から足先、指先まで糸を巡らせれば、それだけで生き返ったように思えた。
うん、形が目に見えるというのは良いことだ。
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