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なんという不幸。なんという悲劇。
しかし誇り高きワタクシは、運命が用意した障害に屈したりなどしません。
ええ、そうですとも。一時後退しようとも、それは反撃のため。
小うるさい虫けら二匹をたたきつぶすため、ワタクシは自らを高めようと決意し、闇の秘密結社ネフィルサークルに入団しました。
正直、非合法な組織に身を置くことに抵抗はありました。
ですが、運命の神に、ワタクシにふさわしい待遇をさせるには、正攻法では不可能なのです。ならば別の手段をとる以外に道はない。そう、みんな意地悪な運命の神が悪いのですわ。
それにワタクシはカスター伯爵家の令嬢。
誇りのための戦いには、法を破るなんてささやかな問題です。よく言うでしょう? 「貴族が通れば法律は引っ込む」と!
……違ったかしら?
ワタクシ、生まれと知性はすぐれているのですが、勉学に嫌われているので、多少の間違いはあるかもしれません。
それはさておき…ワタクシは、覚悟を決めてネフィルサークルに入ったのです。
なのに、なのに!
あろうことかワタクシより先に、アスター・リーヴが組織にいるではありませんか!
とてつもない衝撃でした。
ですが、衝撃と共にワタクシは悟りました。すべてが腑に落ちたのです。
アスター・リーヴ。
底辺貴族で魔力も三流なあの女が、どうして特待生となれたのか。
どうしてあんな女と、レオンさまをはじめとする学園の王子サマたちが親しくしているのか。
すべては闇の秘密結社ネフィルサークルの力によるものだったのです。
なんて卑劣な! なんというズルっ子!
しかもしかも! あの女はワタクシを尻目にとんとん拍子に昇進してゆくのです。
ああ、羨ましい! 妬ましい! 腹立たしい!!
ワタクシは硬く心に誓いました。
なんとしても、あの女をたたきつぶす、と。
そしてワタクシ、ジャクリーン・カスターが、アスター・リーヴやエマ・ハートなどより上なのだと知らしめてやるのです!
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