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03 異世界で失踪するのに必要な10のこと
──アルビオン家の人々が惨殺された。
この知らせに王都は大騒ぎとなった。
アルビオン家は、ロードシルツ、ナイトレイと並ぶ王室御三家の一つ。そのアルビオンの人々が暗殺されたとなれば、王位継承を巡る陰謀だと誰もが思った。
わたしが真っ先に思ったのは、ヴィクトリアの仕業ではないか、ということだった。
ゲームのヴィクトリアは、学園そして王国を支配する野望を抱いていたからだ。
ところが、しばらくするとアルビオン家の事件は、ロードシルツの仕業だという噂が流れはじめた。
──レオンの家がユーリックの家族を殺すよう仕向けた?
真相はわからない。
でも、一つ確かなことがある。
葬儀で見たユーリック。
まだ十一歳で、家族や親しい人たちを亡くした少年。あの朗らかな笑顔はもうなく、無感情な暗い瞳をしていた。
あの姿……まだ幼いけど、あれはゲームで見た黒衣の王子ユーリックそのものだった。
ゲームとこの世界は違うと思っていたけど、それは状況がまだ動いていないだけだったのかもしれない。
だとしたら、わたしはゲームのアスターのような、コンプレックスの塊になって、悪の秘密結社の幹部になっちゃうのだろうか? そして、善玉チームに退治されてしまうのか?
そんなのイヤだ! 絶対にイヤだ!
せっかく転生して、前よりマシな人生を送れると思ったのに、十五歳で殺されるなんて、絶対にイヤだ。
「考えろ、考えるんだ……」
部屋の中をぐるぐる歩きながら、助かる道はないかと必死に考える。
このままだとわたしは十五歳の年に殺される。魔法学園に入り、半年が過ぎた秋の日に、わたしは悪の組織の中ボスとして退治される。残された時間はあと四年。それまでになんとかしないと……。
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