幕間 嵐の前 その2 クソザコたちの叛乱(ジャクリーン視点)

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「皆さん、大変ですわよ」  ようやく部屋の掃除が終わった頃、エリスがやってまいりました。  彼女は組織に必要な品物の調達と管理を行う班に所属しています。  しかし先日、エマ・ハート洗脳作戦で大きなミスをしでかして降格。今は単なる連絡係となっています。下々でいうところのパシリですわね。  エリスは降格される際、呪法隊による〈おしおき〉を受けました。しかし彼女はワタクシたちを恨むことなく、それどころか親しくなろうと積極的にアプローチを繰り返し、今やワタクシはじめ呪法隊と仲良しになっています。  敵対するより仲良くなっておくほうが将来に有利だとの考えでしょう。  なんといっても呪法隊はネフィルサークルにおける最大グループ。そして敵対者を排除する暴力機関なのですから。 「どうしましたエリスさん。──もしやアスター・リーヴが?」 「ああ、そうですわね。それもありました。  今しがた、私、聞いてしまったんです。アスターが、とんでもないことを企てていることを!」  急いできたらしく、エリスは息を整えてから続けた。 「明日の学園舞踏会、そのオープニングで、アスターがヴィクトリアさまと踊るつもりなのです!」 「なんですって!?」  ワタクシはじめ呪法隊の全員が驚きの声を上げる。 「無礼講──平民や準貴族たちが気後れせずに踊れるように、まず自分とヴィクトリアさまが最初に踊ってみせましょう、とこういうのです」  たしかに、学園舞踏会は誰でも参加出来るのが建前です。  ですが建前は建前。それを本気にして、平民の生徒をダンスの輪に入れようだなんて、とんでもないことですわ! 「な…何という身の程知らず!」 「不遜にもほどがありますわ!」 「それで、ヴィクトリアさまはなんと?」  代表してワタクシが尋ねました。 「それはいい、とお引き受けなさいました」 「なんてこと…!」  目の前が真っ黒になりました。 「ヴィクトリアさまが、そこまであの女にたぶらかされていたとは…!」
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