04 ヨガ教室とお勉強

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「とりあえず、ウェアはこんなのがあります」 「変わっているわね。でもカワイイかも」  ヨガ用に作ってもらったウェアは、ジーナさんには好評だった。  ちなみに制作費は、母の着てないドレスを「お裁縫の練習」の名目でもらい、それをたたき売って用意した。  ウェアに着替え、まずはヨガの呼吸をジーナさんに教える。 「こんな感じ?」  マットの上で、蓮花座で座るジーナさん。美人だと絵になるなぁ、と見とれてしまう。 「呼吸は、鼻で息を吸って口から吐きます。深く吸って、なるべくゆっくり、細くする感じで息を吐いてゆく」 「すぅ……はぁ……」 「そうそう、そんな感じです。ゆっくり、深く、心地良い感じで吸って…ゆっくりと吐く。  身体の深いところに呼吸を下ろすイメージで。呼吸と一緒に、プラーナ──エネルギーを下ろして…ためて……。吐く時は、ためた息とプラーナを、螺旋を描いて登せてゆくのをイメージして……」  数分ほど、呼吸法を試したあと、簡単なポーズをいくつか行った。  一通り終わった後、 「なんか…いいわね! これ」 「ほんとですか。良かったぁ」  目を輝かせるジーナさん。それを見て、わたしはほっとした。 「ジーナさんみたいな美人で健康な人に、ヨガの良さを伝えられるか不安だったんですよ」  不眠症で悩んでいたメイみたいに、悩みや痛みがある人は、それが改善すればヨガの効果を認めてくれる。  でも心や体に悩みがない人(おまけに美人)は、何かが良くなるわけではないので、効果を実感してもらえない。だから半分あきらめていた。 「何言ってるのよ。楽しいことするのに、健康とか関係ないでしょ」 「あ──」  ジーナさんの言葉で思い出した。  前世、佐倉あすかだった頃、ヨガ教室に通っていた記憶を。  キッカケは、頭痛と肩こりを治すためだった。でも、通ううちにヨガが好きになり、教室に行く毎週水曜が楽しみになっていた。 「そうですね。楽しいから、でもいいんですよね」 「楽しくて、ついでにもっと美しくなれるんだから最高じゃない!」  ジーナさんは明るく笑って言った。  この日、わたしは新しい生徒と友だちを手に入れた。  そして、ヨガ教室にとっても大きな転機となった。
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