01 異世界転生! ヨガでスローライフのはずが…

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 ──ヨガ。  はじめて聞く言葉だった。  なのに、わたしはその言葉に、不思議な懐かしさを感じた。 「まずは呼吸からだな。呼吸は鼻から吸って鼻から吐く。吸い込んだ息を、ゆっくりと深く…深く、下ろしてゆく……。下ろしてゆく呼吸をイメージするんだ」  言われた通り、わたしはヨガの呼吸と瞑想をはじめた。  ゆっくりと息を吸い、ゆっくりと吐く。  息を吸うことで身体が満たされてゆく。息を吐くと内にあった悪いものが出てゆく。  身体がほぐれ、心がほぐれてゆく。  あんなに苦しかった胸が楽になっていた。  怒りのトゲトゲ。悔しさのイガイガ。悲しみのつかえ。そうしたイヤなものが、すっかり消え去っていた。  わたしは、生まれてはじめて心が満たされた気がした。  ──いや。  はじめてじゃない…かも? この感覚はどこかで……?  そう思った時、〈それ〉が見えた。  山のように高い、四角い石の建物の群れ。  どんな(いち)よりも大勢の人で埋め尽くされた通り。  そこに行き交う人々は、みんな奇妙な服を着ている。  ここではないどこか。今ではないいつか。  そこに、わたしはいた。  今とは違う姿で。ずっと大人の姿で。  わたしは…わたしは……!  はっとして、わたしは目を開けた。  そこはギヨムさん小屋の中。目の前には、微笑むギヨムさんの姿。 「今のは、いったい?」 「前世の記憶だよ」 「前世……!」  その言葉が、封印を解いた。 「そうだ。そうだった。わたし…わたしは……」  堰を切ったように、記憶があふれ出てくる。 「わたしは、佐倉あすか……!!」
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