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二話 まったくこれだから貴族ってのは 5
「シオン、入るわね」
俺は一瞬万事休す。
またしても余計な刑罰を課されなければならないのかと眉を吊り上げた。
が、どうやら心配する必要は無かったらしい。
というのも入ってきたのが…………。
「……な、なんだよ。 姉貴と兄貴じゃねえか。 驚かせんなよ」
こちらの事情に明るい二人だったからだ。
「ふふ、ごめんなさい。 先に言えばよかったわね」
そう楽しげに謝るこの人は姉のリオン。
エンデュミオン家の証とも言える栗の色をした髪を腰まで伸ばしている美人さんである。
ちなみに胸はあまり無いが、それを言ったら殺される。
コンプレックスらしい。
「くくく……! いやー、シオンは本当にからかい甲斐があるなぁ。 見ていて飽きないね」
そしてこっちのイケメンが兄のイーリス。
これまた同じ髪色だが、癖っ毛な俺と違ってストレートヘアーだ。
嫌みか。
「うるせえな、こっちはヒヤヒヤもんなんだっつの」
「ははは、悪い悪い。 ついからかってすまなかったよ」
絶対面白がってるだけだろ、あんたは。
「ああそうかよ。 んで何の用なんだ? わざわざアリシアまで呼び出したんだからなんかあるんだろ?」
「あら? 気付いてたの、シオンくん?」
このメンツならなんかあると思うだろ、普通に考えて。
「流石は私の弟ね。 優秀、優秀!」
「そういうの良いから。 はよ言え」
「つれないね、僕らの弟は。 ……なら早速本題に入ろうか。 と言っても話す内容は一つだけ。 ……シオン、君を追放処分にした理由を話すためだ」
…………なるほど、やっぱり理由があったか。
「ふうん。 それってビブレが関係してるのか?」
「ご名答。 このままじゃあ僕らはともかく、シオンは殺されかねないからね。 だから今は遠くに逃げてもらおうかと思ったんだ。 追放という名目でね」
「追放という理由さえあれば国も身元の管理しなくなるわ。 追放という事はもう国民じゃないからね。 管理する必要がないのよ。 手間隙もかかるからね、管理するにも」
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