二話 まったくこれだから貴族ってのは 5

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まあだからこそ追放は重罰な訳だな。 「ああ、それは知ってるよ。 これでビブレも俺を殺すのは難しくなるだろうな。 もし仮に俺が殺害されたとしたら、真っ先に疑われるのはあいつだ。 いくらバカでも自分の首をしめたりはしないだろ」 「その通りさ。 それにこれは糸口にもなる」  ………………? 「どういう意味だ?」 「文字通りの意味よ。 あの男には様々な罪状があるけれど、どれも証拠がない。 けれど今回は違う。 生き証人が二人も居るんだからね」  そりゃあそうだが…………って、二人?  ああそうか、だから追放処分なのか。 「なんとなく読めてきた。 もしかして俺の追放処分は表立っては刑罰だけど、実は裏の理由がありやがるな? 例えば…………被害者の女の子を守る為……とか」  俺がそう言うと三人は驚いた様子を見せる。 「ふふ、流石だよシオン。 その通りだ。 ビブレを追い込むにはまだ様々な調査が必要なのは分かるね? これはかなり時間を要するのだけれど……」 「その間、貴方には襲われた彼女を守ってあげてほしいの。 あの娘の家は郊外の森に拓かれた村で、王都からはかなり距離があるのだけど……。 それでも証人には違いないから殺害される可能性があるわ。 だからシオンにはあの娘を守る役目をお願いしたいの」  まったくもって面倒な仕事だ。  そんなものを俺が引き受けるとでも…………。 「…………ちっ、本当に嫌な兄妹を持ったよ俺は。 断れないのを知ってるくせに」 「はは、そう言ってくれると思っていたよ。 シオンはなんだかんだ優しいからね」 「女の子の危機には駆けつけずには居られないものね」  理由は全然違うがもうそれで良いよ。  兄貴と姉貴は俺の誇りだから断れないなんて口が裂けても言いたくないからな。 「はいはい、そうだよ、そうですよ。 じゃあ今後の方針なんだけど…………聞かせろ。 どうせ盛り込み済みなんだろ、あんたらは、さ?」 「ふふ、シオンくんったら悪い顔が似合うなぁ」 「勿論だとも。 今から説明するからよく聞いておいてくれ」 「さあでは今から始めましょうか。 腐った貴族をぶっ潰す為の会議を」  やれやれ、あんたらの方が俺なんかよりよっぽど悪人っぽいの分かってる?
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