三話 天才の思い通りになるのはやっぱり癪

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三話 天才の思い通りになるのはやっぱり癪

「よう、シオンじゃねえか。 もう行くのかよ」 「ついにお前が追放ねえ。 お前ならいつかそうなるんじゃないかと思っていたが……」  そんな話を振ってきたのは王都正門を警備する門番の二人。   同期の騎士だった。  後者の奴の言い分に俺は眉をひそめたが、直ぐ様ニッと笑い、そいつの肩にもたれながらこう返す。 「おいおい、それは言い過ぎ…………でもねえか? 色々やらかしてきたからなー」 「だろ? むしろ遅すぎだろ」 「ふはは、確かにな! シオンなら最悪島流しもあったろうに!」  相変わらず軽口ばかり叩く二人に俺はうるせえなと毒づくが、両者とも笑うだけで謝りもしない。    謝られたらそれはそれで気持ち悪いが。  とそんないつもの。    けれど恐らくはこれっきりになるであろうバカ騒ぎを起こしていた最中の事。 「あら、貴方達サボりは良くないわね」 「ははは、まあ今日くらいは仕方ないんじゃないかい? なんたって同期で友人のシオンが去る日だからね」 「ふ、副団長殿! それに書記官殿! お疲れ様です!」 「も、申し訳ありません!」  兄貴と姉貴が現れると俺を突飛ばし、鎧をガチャガチャ鳴らしながら仰々しく敬礼をした。  ちなみに書記官とは姉の役職である。 「ふふっ、気にしなくて良いよ。 それよりもそろそろ時間だからね。 シオン行くよ」 「お、おう。 じゃあなお前ら! また会おうぜ!」  兄貴と姉貴の後ろをついていきながら俺は二人に手を大きく振った。   が、二人は仕事に頭を切り替えたのか何も反応を見せない。   職務上、上司の目がある所で追放者とやり取りをしてはいけないのだろう。  分かってはいるが、やはり若干寂しいものがある。
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