一話 厄介な問題ほど舞い込んできてしまうものである 3

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一話 厄介な問題ほど舞い込んできてしまうものである 3

「なんてこった。 こんな面倒な状況に出くわすなんてついてねえな、おい」 「え…………? そこに誰か居るんですか!? お、お願いです、助けてください! お願いします!」  どうやら呟きが聞こえてしまったらしく、女の子が恐怖で滲ませた顔から涙をポロポロ流しながら懇願してきた。  当然ながらそんな現場を見られた男は、慌てた様子…………。 「ああん? 何見てる、ただの一兵士風情が! さっさと職場に戻れ!」  でもなく、それどころか罵声を飛ばしてきた。  こいつは今の状況分かってるのか?  こんなでも一応権力の犬なのだが。 「いや、だってあんたらどう見ても和姦じゃないだろ? 流石に見て見ぬふりは……」 「黙れ、貧乏人が! 私に楯突くつもりか!」  なんなんだ、こいつ。  何様だ。 「そうはいくか。 良いからその人を離しな」  こんな状況かなり面倒臭いがここで何もしない訳にもいかない、と俺は男に近づこうとしたが。  いきなりこんな言葉を告げられ足を止めてしまった。 「貴様、名を名乗れ」 「はぁ? なんでだよ」 「良いから名乗れぃ!」  いきなり過ぎて面食らったが、名前くらいなら良いかと。 「…………シオンだ。 シオン・エンデュミオン」  いぶかしみながらも教えることにした。  がしかし、どうもそれは悪手だったらしい。  というのも、先にこいつの名を知るべきだったのだ。  何故ならこの男があの悪名高い…………、 「エンデュミオン家だと……? もしや中流貴族にしてはやり手だと噂の例の家か? ふっ、だとしたら貴様は余計首を突っ込まない方が良いだろうな。 この私、ビブレ・トン・テキーラに逆らうのはな! このわしに逆らってみろ! 貴様程度の家柄、すぐにでも潰せるのだぞ!」 「な…………」  ビブレ・トン・テキーラだったからだ。  いや、ちょっと待て。  本当にこいつが噂に聞く、あのビブレなのか?  
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